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隧道道

隧道をはじめ、趣のあるものをお知らせします。

房総半島(36)

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「現地での聞き取り調査」。実はこれには困難を極める。なぜなら、私は「人見知り」症候群なのである。現地で見知らぬ人に陽気に声をかける、そういうキャラではないのである。でもここまできたからにはしょうがない。やるしかない・・・。まず、昼時に現地の国民宿舎(清和国民宿舎)に向かう。そこでランチを食べて取材しようというのである。

(doodoongoo) 注文したカレーを食べながら、“あの~、この先の隧道、途切れてますよねえ~。昭和42年ではつながっていたんですが、ご存知ありませんか?”
(国民宿舎スタッフ) “いや~、ここには古い人がいないからねえ~。申し訳ないけど、わかりません・・・。”

ああ、やはり簡単には謎は解けないようだ。仕方がないので国民宿舎を出て、地元の人に照準を合わせる。すると、犬の散歩をしているご老人がいらっしゃるではあ~りませんか。

(doodoongoo) “あの~・・・(先ほどと同じ質問を行う)”
(犬散歩のご老人) “へ~、そうですかね。ここはよく散歩しているけど、気付かなかったなあ~。”

その後、地元の人を求めてあちこち歩き回るが、中々それなりの御仁にお会いできない。暗雲が立ち込める・・・。すると、ご自宅の庭のお花の手入れをしている、お婆さまを見かけた。

(doodoongoo) “あの~・・・(先ほどと同じ質問を行う)”
(お婆さま) “そうだよお・・・あのトンネルは最初はつながっていたんだよお・・・。私も歩いたもんだよ・・・。でもね、あるとき崩れちゃったの。”
(doodoongoo) “そうなんですか!!(ヤッタ!) でもどうして崩れちゃったのでしょう? ご存知ありませんか?”
(お婆さま) “それは私には分からんねえ・・・。”

現地の人からの証言をとうとう引き出せた。やったー!! でも、なぜ崩れたのか、が未だ謎なのである。お婆さまはこうも言っていた。トンネルの上に暮らしている人は元学校の先生でここらの歴史には詳しいよ。聞いてみな。でも、いろんなことを調べているんですねえ・・・ご苦労さま。

感謝された。しかし、元学校の先生って、どこにいるんだろ・・・。とりあえず、トンネル近くの坂道でも登ってみるか・・・。

それなりの坂道を登ると、田んぼで農作業をしているおじさんがいた。

(doodoongoo) “あの~・・・(先ほどと同じ質問を行う)”
(おじさん) “そうだよ。あのトンネルは最初はつながっていたんだよ。でもね、途中の部分が非常に薄くて、あるとき崩れてしまったんだよ。それで、崩れた部分を取り除いて、今の形になったんだよ。”

そうだったのですか!!! おじさんが、元中学校の先生か、分からなかったけど、でもトンネルって、穴の上の部分が薄くても軽くてもダメなんですね。知りませんでした。これで謎が解けました。皆さま、ご協力どうもありがとうございました。

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上の写真は、清和国民宿舎で食べたしし肉カレー。国民宿舎での取材はうまくいかなかったけど、カレーはおいしいよ!! イノシシの肉だけど、以外とあっさり。やわらかいよ! (完)







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  1. 2008/05/08(木) 21:32:35|
  2. 奥米隧道
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房総半島(35)

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「二つの隧道は最初はつながっていた」という仮説を証明するために、古い地形図を調べてみた。上の写真は、昭和45年当時の奥米隧道を示すものである(国土地理院発行)。矢印の指す部分を見てほしい。奥米隧道が2つに分断されていることが分かる。

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これに対し、上の写真は、昭和42年当時の奥米隧道を示すものである(国土地理院発行)。同様に、矢印の指す部分を見てみると、何と奥米隧道はつながっていた!すなわち、奥米隧道は、昭和42年~45年の間に、何らかの理由で2つに分断されたのだ!!

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そうか~。やっぱりそ~だったのか・・・。どう見ても坑口の形状が不自然だもんな。でも、なぜ、「2つに分断」されたんだ? その理由を探るべく、「清和村誌」を調べてみた。昭和40年当初、この地域は旧清和村に属していたのだ。だが、この本のどこを見ても、隧道分断の理由は記されていなかった・・・。仕方がないので、最後の手段に出た。現地での聞き取り調査である。



  1. 2008/05/05(月) 21:28:43|
  2. 奥米隧道
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房総半島(34)

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名無しの隧道と一番目の隧道との間は、こーなっている。こちらは、名無し側。人為的に岩盤を削っているように見える。

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こちらは、一番目の隧道側。坑口の上のほうを見ると、垂直に岩盤がえぐり取られている。

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坑口を横から見た、の図。なんじゃい、このオモチャのようなポータルは。これはアヤシイ。どう見てもアヤシ過ぎる。「二つの隧道は最初はつながっていた」という仮説が、成り立つように思える。次回から、この仮説を証明します。ご期待あれ!!
  1. 2008/04/30(水) 13:16:34|
  2. 奥米隧道
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房総半島(33)

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その「名無し隧道の名称」とは、「おくごめずいどう」。えっ???行きで一番最初にくぐった隧道が「奥米隧道」だったぞ・・・。帰り道ではこの隧道が「おくごめずいどう」になっている。二つの隧道が同じ名称だ。ということは・・・。これらの隧道は、元々はつながっていたのではないだろうか・・・。

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帰り道にて、名無し隧道出口から一番最初の「奥米隧道」を撮った写真。やはり、扁額がない。
  1. 2008/04/29(火) 12:13:40|
  2. 奥米隧道
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房総半島(32)

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奥米台隧道から、三島湖畔に戻ります。その謎とは、帰り道で見た隧道の扁額にありました。上の写真は、帰り道での奥米台隧道坑口。行きの行程は、距離の短い奥米隧道(房総半島(23)参照)→距離が長く、横穴のあった名の無い隧道(房総半島(24)参照)→奥米台隧道でした。帰り道は、その逆をたどることになります。

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帰り道の奥米台隧道の扁額をアーップ! ふむふむなるほど。行きと違って帰りの扁額は「ひらがな」で記されているのか・・・。

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再度、奥米台隧道に進入。行きは左カーブだったから、帰りは当然右カーブ。

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帰り道は行きよりもやや安心して隧道を通過できた。

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続いて、「横穴のあった名の無い隧道」が見えてきました。あれ~? 上の方に扁額が見えるぞ~。行きでは扁額なかったのに・・・。そーですこれです!この扁額に書かれている名無し隧道の名称こそ、今回の探索の最大の謎があったのでありま~す! 乞次号。


  1. 2008/04/24(木) 13:52:03|
  2. 奥米隧道
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房総半島(31)

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出口付近の左カーブ。デジカメの露光補正によって明るく見えるが、実際はもっと暗い。

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カーブを曲がりきると、出口が見えた。安心する。

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隧道を脱出してから振り返って写真を撮った、の図。実はこの帰り道にこそ、ある謎が潜んでいたのだ。乞次号。

  1. 2008/04/22(火) 21:12:11|
  2. 奥米隧道
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房総半島(30)

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さてそれでは奥米台隧道の中に入ってみよう。ご覧のとおり、出口が見えない。出口付近で左にカーブしているのだ。入るのがちょっと躊躇われる。

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車・人の通行はほとんどない。静寂の隧道内。聞こえるのは靴音だけだ。ナトリウム灯はあるものの結構暗い。なお、右に見えるのはデジカメのフラッシュに反射した隧道内の落書きである。
  1. 2008/04/20(日) 18:12:37|
  2. 奥米隧道
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房総半島(29)

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びっくり発見を後半にご紹介しようと思いましたが、もったいぶることもないので、今回掲載します。奥米台隧道の坑口からちょっと離れて撮ったのが上の写真です。坑口に向かって左側に何か不自然なスペースが見てとれます。笹が茂っているあたり。この笹の先に見えるものとは・・・

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うおお・・・なんじゃこりゃ!廃隧道だ!

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さらに近づいてみる。ひゃー崩落がすご過ぎる。

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もっと近づいてみる。隧道内部も崩れた岩石だらけ。こりゃ危険じゃ。退散するしかないのお。

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ん?ガードレールがある。ということは・・・。そーなのです。これは旧道です。昭和45年発行の国土地理院の地図で確認しました。房総半島(23)でご紹介した奥米橋が昭和28年建造。その先の奥米隧道が昭和30年竣工。そして房総半島(28)の最後の写真でご紹介した扁額によれば、奥米台隧道の竣工は昭和49年。これほど時間のズレがあれば旧道が存在しても不思議ではない。しかし、こーまで激しく崩落するとは・・・。近いうちに旧道隧道は人知れず姿を消すことになりそうです。ああ、無常。




  1. 2008/04/17(木) 13:54:27|
  2. 奥米隧道
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房総半島(28)

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クネクネ進みながら、出口付近に到達。写真で見るよりもナトリウム灯は明るくない。距離約300m。さて、次の隧道に向かおう。

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800m位歩き、やっと見えてきた。奥米台隧道。やはり隧道と最初に出会う瞬間がなんともいえない。暗い坑口がお出迎え。ドキドキする。

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扁額。実は、前の写真とこの扁額にヒントが隠されていて、この2つの組み合わせでびっくりする発見をするのですが、それについては本レポートの後半にて。
  1. 2008/04/15(火) 13:06:46|
  2. 奥米隧道
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房総半島(27)

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この隧道には、2箇所横穴がある。写真右側に結構大きな穴があいているの、分かりますよね。

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横穴の中は、こーなっている。ゴミがお見苦しいが、結構深く、長そうだ。水も溜まっている。なお、横穴内部の探索は行っておりません。ご理解賜りたく、お願い申し上げます。


  1. 2008/04/11(金) 12:21:31|
  2. 奥米隧道
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